トリマーテーブルを自作するための天板セットです。これにより、トリマーテーブル全体を自作するのに比べ、労力を大幅に軽減でき、しかもご自分の使用目的に合ったトリマーテーブルの製作が可能になります。

MIRAIトリマー天板には大小2つのビット穴があり、ビットのサイズにより使い分けることが出来ます。トリマーは天板に直接ではなく、スライドベースを介して取付けられています。そしてスライドベースは2つのビット穴の間を行き来することで、どちらかのビット穴をすばやく選択できます。

大小ビット穴 大小ビット穴を使い分けた状態です。従来のインサートリングによる穴径調節ではないため、段差がなくすっきりしています。

天板:400mm×400mm/高精度アルミ板6mm/梨地アルマイト処理/
2つのビット穴径:18mm/36mm

天板裏面ではスライドベースが大小ビット穴の間を行き来する様子が分かります。(トリマーのモーターをプラスチックベースから外した状態です。) 大小ビット穴
天板裏面 天板を通してスライドベースを見た図です。スライドベースが大小2つのビット穴の間を行き来できる構造が分かります。

従来のようにビットサイズに合わせ、インサートリングを付け替える方法はその部分に段差が生じやすく、加工中に材料がひっかかると言った使いにくさがあります。また、このことは加工精度にも影響を与えます。こうした問題をすべて解消し、段差をゼロにしたのがMIRAIトリマー天板です。

右図は市販のインサートプレートとそこに使われるインサートリングです。インサートリング部分に段差が生じるだけでなく、長方形のインサートプレート自体も天板の開口部にはめ込んで使用するため、そこでも段差が生じる原因になります。 インサートプレート&インサートリング

■ 付属のスライドベースについて


トリマー天板セット 02スライドベースには各種トリマーが取付けられるよう、それぞれのベース穴があいています。お使いのトリマーのベース穴位置を測り、下図の4種類と照合してください。いずれかが合えば取り付け可能です。
スライドベースは表裏両面が使えます。お持ちのトリマーに合う取付け穴を両面から捜して下さい。


例


■ 付属の取り扱い説明DVDの内容


このDVDは単なる取り扱い説明に留まらず、初めてトリマーテーブルをお使いになる方にとってはトリマーテーブルガイドとしてご覧いただける濃い内容です。天板下のスタンドの作り方や、内部のトリマーにアクセスするためのアクセスドアの仕組みが紹介されています。
DVD中で紹介されているスタンド形状は簡単に製作できるよう、4枚の板で製作する方法です。4枚全て同寸で、追い回し継ぎによる箱形状です。

フェンス
集塵ポートの付いたT定規型フェンスの作り方が解説されています。
フェンスの基本はまっすぐな材を天板にクランプするだけです。DVD中では洗濯機の排水ホースを利用した集塵ポートを設け、トグルクランプでスピーティに固定できる方法を紹介しています。
フェンス

部材の切り出し
スタンドとフェンスの部材は3x6(さぶろく)板の半分から切り出して製作できます。取扱説明書にその図が掲載されています。
部材の切り出しはホームセンターのカッティングサービスを利用すると作業が楽です。

あられジグ
強度と美しさを兼ね備えたあられ組みを加工するあられジグの作り方や加工方法も紹介しています。
DVD中で紹介しているあられジグは天板上を前後に動かしてあられ加工します。使用するビットの刃径があられの大きさになります。このジグでは2種類のサイズのビットが使えるようにできています。作品の大きさに合わせたあられサイズが選べて便利です。
あられジグ

溝や段欠き加工
溝加工や幅の狭い板を段欠き加工する方法なども分かりやすく説明しています。
溝加工&段欠き加工
  1. 幅の狭い材の加工はそのままでは不安定で危険です。そこでバックアップ材と一緒にして、1枚の大きい材にみたてて加工します。
  2. フェンス完成後、フェンス面にビットが収まる開口部を設けます。これはドリルを使わず、ビット自体で加工します。
  3. フェンスの反対面も使います。ビットが収まる開口部を設けず、溝加工専用にすることができます。開口部がないので材の送りが滑らかです。
幅決めスレッド
材を一定の幅やテーパーに仕上げるジグです。さらに木端と木口の直角出しなどにも使えとても便利です。
幅決めスレッド
  1. ベース板と可動フェンスで出来ています。ベース板の縁から可動フェンスまでの距離をセットし、材を固定します。
  2. パターンビットのベアリングとフェンスは一直線にセットします。フェンスの厚みはベース板より薄くするのがコツです。
  3. 材がベース板からはみ出た部分をパターンビットが削り取ります。幅決め加工の完了です。切削面はとても滑らかです。

■ 開発者の独り言


インサートプレート
天板の条件
MIRAIトリマー天板セットは私の自作ルーターテーブルの失敗と改良の繰り返しから生まれた製品です。はじめのうちは海外通販で購入したインサートプレートを天板にはめ込んで使用していました。インサートプレートとは写真の黒く四角い部分で、ルーターを取付け、自作天板にあけた開口部にはめ込んで使うものです。中央にはルータービットが顔を出すビット穴があいています。ビットサイズに合わせ、丁度いいビット穴になるよう、インサートリング(赤と白のリング部品)を付けたり外したりして使います。
使ってみると、天板にインサートプレートをはめ込んだ境界部分で段差が生じてしまい、材がそこに引っかかります。その段差を埋めるため、シムをはさんで調整しました。段差は改善しましたが、ゼロになったわけではありません。私の天板製作技術が低かったからでしょうか、天板が少しでも歪んでいれば、いくらシムで調整してもどこかに段差が生じ、解消されることはありません。最近のインサートプレートにはシム機能が備わっている製品もありますが、天板の自作技術を高め、歪みのないまっ平らな天板が製作できないとその機能を生かせません。しかし、歪みのないまっ平らな天板を自作することは、実はとても難しいのです。(それがインサートプレートのない、今回の製品の考え方につながっていきました。)
この段差問題はインサートリングにも発生しています。これはシムで調整することもできず、そのまま使わざるを得ません。天板全体で2か所の段差があることになります。こうしてしばらく我慢して使っていましたが、やはり気になるので、天板を作りかえるつもりで、他社のインサートプレートをいくつか購入しました。しかし、どの製品にもインサートリングに段差があるため問題は解決できませんでした。
インサートプレートやリングがなければ問題が発生しないわけですから、それらを使わない2枚構造の天板のアイデアを採用しました。下の板を6mmアルミ板で製作し、そこには最大のビット穴をあけ、その上にのせる天板には3、4ミリのMDFを使いました。このMDFの天板は数種類用意してあり、それぞれにサイズの異なるビット穴があいています。ビットサイズに合わせ、交換して使います。(このルーターテーブルはDIYビデオマガジンシリーズ「ルーターテーブル」で紹介されています。)
結果は、段差ゼロのまっ平らな天板ができ、加工精度も驚くほど上がりました。何といっても段差ゼロの天板上での作業はとても気分がいいのです。短所というと、ビットの大きさに合わせ、そのつど、上の天板を交換するのが億劫な点です。そのため、細いビットに大き目のビット穴というやや危険な組み合わせで作業してしまうこともあります。
こうした経験から、優れた天板とは「段差ゼロ」と「すばやいビット穴の選択」の2条件を満たすものだということが分かりました。

トリマーテーブルへの応用
トリマーテーブルは製作する作品自体をあまり大きくないものに限れば、天板も小さくて済み、コンパクトに使えるところが便利です。MIRAIトリマー天板セットはトリマーテーブル専用の天板としては初の商品だと思います。材質は6mmの高精度アルミ板にしました。これなら今までの経験から強度も平面性も充分満足できるからです。
2つの条件を満たすトリマーテーブルに辿り着く決め手になったのが、スライドベースのアイデアでした。トリマーを直接天板に固定せず、スライドするベースプレートに取付けることで「すばやいビット穴の選択」という条件を満たすことが出来るようになりました。

マイターゲージとスロット
多くのルーターテーブルには分度器のようなマイターゲージを使うためのマイターゲージスロットと呼ばれる「溝」が天板にあります。マイターゲージをスライドさせるために使います。
これは主に材の木口加工をするためのものですが、私はこの溝が必要ないと考えています。今まで自作した天板にはひとつも溝がありませんし、作業中に必要性を感じたこともありません。木口加工なら、より信頼性が高く、簡単で正確な加工方法がいくつもあるからです。

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